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渡良瀬遊水地のヨシ焼きを実施しました。


渡良瀬遊水地のヨシ焼きを実施しました。

 貴重な湿地環境の保全や、治水容量の確保などを目的とした、渡良瀬遊水地のヨシ焼き。

今年は3月21日(土曜日)に実施し、地元住民の皆さんら約380名により火入れが行われました。

8時30分に火入れを開始し、19時20分終了。

 当日は晴天に恵まれ、風も弱く、ヨシ焼きを実施するにあたって最適の天候で、予定していた焼却面積1,500haの内、約7割である1,000haのヨシ原を焼きました。

一方で、昨年10月に猛威を振るった台風19号の影響によりヨシや下草に泥が被り、思うように燃え広がらず、火入れ従事者が苦労する一面もありました。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、見学の自粛をお願いしたところ、今年の見学者数は約2,600人と、昨年の約9,200人を大きく下回る数字になりました。

ヨシ焼き①  ヨシ焼き②

 ヨシ焼き後からゴールデンウィークにかけての渡良瀬遊水地は、希少な植物が次々に芽を出すとともに、ヨシがグングンと成長し、1・2週間で見える景色が全く変わってきます。

 植物の生命力を間近に感じられる春の渡良瀬遊水地に是非お越しください。

「火は瞬く間に旧谷中村跡のヨシ原に広がった」 

史跡保全ゾーンの火入れに同行ルポ

 ヨシ焼き実施中は大変危険であるため、関係者以外全域が立入禁止となる渡良瀬遊水地。

実際に火入れ作業はどのように行われているのか。三代続くヨシ・オギ農家の嶋田稔さん(79)に地域おこし協力隊員が同行させてもらいました。

嶋田さん①

 嶋田さんら10人が担当する地区は、旧谷中村跡の史跡保全ゾーン。ハート形をした谷中湖の北側のくぼんだ部分です。前日まで晴れ続きでヨシが乾燥し、この日も晴天で風速2メートルほどのゆるやかな西風。「子どものころから64年間の経験で、こんな良い条件はないですね」と嶋田さん。

 8時半、火入れです。横一列に並んでガスボンベで一斉に火をつけました。ヨシはぱちぱちと音を立てながら燃え上がります。扇形に燃え広がり、ヨシの穂先からは線香花火のように火花が散り、黒い煙が空高く上りました。

ヨシ焼き③  ヨシ焼き火入れ

全体を見渡しながら燃え残ったヨシにも火をつけていきます。「残さず焼けるかどうかで、今年のヨシの出来具合が決まります」。一帯は、嶋田さんらがヨシズや茅葺屋根など用にヨシ・オギを刈るヤマ(茅場)。真っ黒に焼けた地表からは想像しにくいけれど、地表に日差しがたっぷり当たればヨシの新芽が元気よく伸びてくるのです。

ここはワタラセツリフネソウやマイヅルテンナンショウなど希少植物の自生地でもあります。今年も、春から夏にかけて開かれる植物観察会が楽しみです。

道路や芝地などを通って安全を確保しながら、延命院跡や雷電神社跡がある村跡の中心部に来ました。風は南西に変化。北側の屋敷跡の竹林に火が移って、爆竹のようにパンパンとはじけた音が響きます。

一方、南側のヨシ原は火が届きません。すると、遊水地で漁業などを営む染宮友次さんが軽トラックでやって来ました。燃え残ったところに火入れをして回っているのです。そこで、火を背景に二人をパチリ。火が勢いを増して雰囲気が出ましたが、そろって熱波で「背中が熱い」。

嶋田さん&染宮さん

 昨年(2019年)10月の台風19号で、遊水地は貯水容量の95%まで洪水を貯め、被害の軽減に役立ちました。浸水や、流れ着いたわらくずなどの影響はーー。

わらくずなどは積み重ねてあり、火が付いたところは良く燃えているものの、燃え残ったところもあったようです。ヨシが泥をかぶったためか、例年のように枯れヨシを伝って火が地表を走らず、期待したほどには燃えていない区画もあります。

午前11時ごろから、谷中湖や鷹見台など野鳥観察のスポットを見て回りました。サギなどは水辺に集まっており、猛禽類やカラスは火入れした場所に沿って生えた木に避難してもいます。一方、早くも真っ黒な大地に降り立って虫を探すカラスもいます。

ヨシ焼きを経て、また同時に遊水地の春の生命の営みが始まっていました。

春の遊水地  鳥