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渡良瀬遊水地の様子(2018年9月13日)


9月の渡良瀬遊水地の様子です。
9月13日(木曜日)に谷中村史跡保全ゾーン周辺の植物観察会【(一財)アクリメーション振興財団主催】が行われました。

エゴノキ

エゴノキの画像1エゴノキの画像2

5月の観察会で綺麗な白い花を咲かせていたエゴノキが沢山の実をつけています。
殻を割るとラグビーボール型の硬い種が入っており、ヤマガラが好んで食べに来ます。
ちなみに、殻を水に漬けておくと泡が立ち、昔の人は石鹸代わりに使用していました

ワタラセツリフネソウ

ワタラセツリフネソウの画像

渡良瀬遊水地で見つかり、新種として2009年に登録された植物です。
今年は開花が多少遅めで、今は咲く寸前のつぼみが多く見受けられます。
花は1〜2週間咲き続けるため、9月いっぱいは綺麗な花を見られます。

ミズアオイ

ミズアオイの画像1

渡良瀬遊水地内でも自生地の少ない希少な植物ですが、今は体験活動センター脇にて綺麗な花を見ることができます。
下の写真にある折れた茎にご注目!

ミズアオイの画像2

こちら台風で折れてしまった訳ではありません。
ミズアオイの特徴でして、花が咲き終わった茎は自分から下に曲がって水の中で実を付けます。

ヌルデ

ヌルデの画像

満開に咲くと非常に香りが強く、それに誘われて沢山の虫が集まってきます。
また、実も油分が多く、野鳥にも人気の植物です。
葉の軸に翼(ヨク)と呼ばれるヒラヒラが付いているのが大きな特徴でなかなか他の植物には見られないものなので、見分ける際にはこれを目印にするとわかりやすいです!

ネムの木

ネムの木の画像

6月の観察会で綺麗なピンク色の花を咲かせていた植物が今は豆をつけています。

オオブタクサ

オオブタクサの画像1オオブタクサの画像2

丁度今頃花が咲き始めました。
満開になると、茎が黄色くなるほど、花粉を出すので花粉症の方はお気をつけください。
1年草で今年の春芽生えたものが、約半年で3〜4メートルまで伸びヨシやオギにも負けないほどの高さになります。

フジバカマ

フジバカマの画像1フジバカマの画像2

菊の仲間で秋の七草の一つです。
沢山のハナムグリ(コガネムシ)が一生懸命潜って、花粉を食べていました!

葛の花

葛の花の画像

葛はほかの植物につるを絡めて、枯らしてしまうこともあるちょっと迷惑な植物ですが、元気に紫の色を咲かせています。
花の匂いを嗅いでみるとファ◯タのグレープ味のような香りがするとかしないとか⁉
是非皆さん確かめてみてください!

アレチウリ

アレチウリの画像1

ウリ科のつる植物で、茎が毛深いのが特徴です。
雌花と雄花の見た目に大きな違いがあります。

アレチウリの画像2

写真の手前側にあるのが雌花で、小さな花が集まって手毬状になっています。
一方、雄花は雌花と比較して大きい花をつけ、一つ一つ独立しています。
またアレチウリは生態系に影響を与えてしまう特定外来植物に登録されており、見つけたら駆除を推奨しております。

ガガイモ

ガガイモの画像1ガガイモの画像2

谷中湖の形と同じ、ハート型の葉をしています。
冬になると実が割れます。
ガガイモという名前ですが、この実は芋ではありません。。

実験の様子

アクリメーション振興財団では水位の上昇が植物に与える影響を実験を通して観察していました。

方法

  • ハンゲショウ
  • ヤナギ
  • タチスミレ
  • オヘビイチゴ

上記4種の湿地に生える植物

  • コナラ
  • セイタカアワダチソウ
  • メマツヨイグサ

上記3種の湿地以外に生える植物

以上合計7種の植物を一つのプランターに植え、同様のプランターを4つ用意。

(1)何も負荷を与えていないもの
(1)何も負荷を与えていないものの画像
植えた7種の植物が元気に育っている姿が確認できます。

(2)最初の5日間水槽の中に葉の上まで水没させ、その後2ヶ月半外に出した物
(2)最初の5日間水槽の中に葉の上まで水没させ、その後2ヶ月半外に出した物の画像
湿地以外を主な生息地としているコナラとメマツヨイグサは枯れていました。

(3)最初の10日間水槽の中に葉の上まで水没させ、その後2ヶ月半外に出した物
(3)最初の10日間水槽の中に葉の上まで水没させ、その後2ヶ月半外に出した物の画像
同じくメマツヨイグサとコナラが枯れていました。
一方でセイタカアワダチソウの生命力の強さが伺えます。
土の中や、水の中に溶け込んでいる微量の酸素を取り込んだり、水中で光合成を行うことで何とか持ちこたえるそうです。

(4)葉は空気中にあるが、土の上まで水が浸っている状態を2ヶ月半続けた物
(4)葉は空気中にあるが、土の上まで水が浸っている状態を2ヶ月半続けた物の画像
こちらも湿地の植物とセイタカアワダチソウが残りましたが、他のプランターと比較して元気がありません。
常に酸欠状態になっており、植物に大きなストレスがかかっていました。
この実験を通じて湿地に生息する植物は、水に強いことがわかりました。
一般的な植物と比べて、空気中の酸素を根の先まで送る能力が高い為、このような結果が出ると言われています。
渡良瀬遊水地でも年に何回か水位が上昇し、植物の生育環境に大きな影響を与えていますがこういった自然の作用もあって珍しい湿地の植物が沢山見られるのかもしれませんね

※植物観察はルールを守って行いましょう。植物の採取は行わないでください。