小中学生のみなさん、こんにちは。
「三寒四温」の言葉どおり、寒い日と温かい日を交互に繰り返しながら、季節は確実に春本番に向かっています。今年は、全国的に桜の開花が例年より10日ほど早いと報じられています。一年中で最も美しいと言われる季節の到来が心待ちされますね。
さて、中学校では13日に、小学校では17日に、令和4年度の卒業式が挙行されます。現在各校では、卒業生、在校生ともに、最後の仕上げに集中して取り組んでいることと思います。幸いなことに、新型コロナウイルス感染状況が落ち着きを見せてきたことにより、式中のマスクの着用や校歌・式歌の斉唱等について、学校の状況に応じた柔軟な対応が可能となりました。
この3年間、何かと制限のある中での学校生活を余儀なくされてきた皆さんです。特に中学3年生の皆さんは、入学当初からずっとコロナ禍の中で過ごした三年間でしたね。我慢することや悔しい思いをすることも少なくなかったことでしょう。そんな中、先生方や仲間と共に知恵を絞ったり、工夫したりする経験もたくさん積んで来たことでしょう。そして同時に、普通に生活を送れることのありがたさや、生きていることそのものの大切さについて深く考えることができたのではないでしょうか。これらの経験が、今後皆さんが生きていく上での大きな糧になるものと信じています。
教育委員会としては、今年度も卒業式への参列は行いませんが、代わりに、各校に卒業生の皆さんへのメッセージを送らせていただきました。
ここでは、卒業を迎えられるみなさんへのはなむけとして、私から大好きな詩の一つを贈らせていただきます。
「星とたんぽぽ」 金子みすゞ
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
出典 『金子みすゞ詩集』 角川春樹事務所
世の中には、目には見えないもの、しかし、大切なものがたくさん存在します。見えないものや聞こえない声にも心を傾けることで、人と人とのより良い関係性が育まれるものと思います。今後とも、周囲の人々との関わりを大切にしながら、この世にたった一つしかない自分だけの一生を、自分らしく描いていってください。皆さんの前途に、幸あれ!
令和5年3月10日
栃木市教育長 青木 千津子