海外での感染症に注意しましょう
海外での感染症予防のポイント
- 海外で感染症にかからないようにするために、感染症に対する正しい知識と予防に関する方法を身に付けましょう。
- 渡航先や渡航先での行動によって異なりますが、最も感染の可能性が高いのは食べ物や水を介した消化器系の感染症です。
- 日本で発生していない、動物や蚊・マダニなどが媒介する病気が海外では流行していることがあり、注意が必要です。
渡航の前に
- 検疫所のホームページ<外部リンク>、外務省の海外安全ホームページ<外部リンク>、厚生労働省の海外渡航者向けホームページ<外部リンク>で、渡航先の感染症の発生状況に関する最新の情報や注意事項を確認しましょう。(クリックで各HPへ移動します)
- 海外渡航をする前に、これまで受けた予防接種について確認しましょう。国内の感染症を海外に持ち出さない、または海外の感染症を国内に持ち込まないために、国内で予防接種が推奨される疾患であって予防対策が不十分なものがあれば、予防接種を検討しましょう。
- 予防接種が受けられる感染症については、余裕をもって医師にワクチン接種の相談をしておくなど、適切な感染予防を心がけましょう。
海外に行かれる方への予防接種について
栃木県予防接種センターでは、海外へ行かれる方に対する予防接種等を実施しています。
詳しくは『栃木県 予防接種センター』ホームページをご覧ください。<外部リンク>
渡航中及び帰国後に具合が悪くなったら
- 空港や港に設置されている検疫所では、渡航者の方を対象に健康相談を行っています。帰国時に発熱や咳、下痢、具合が悪いなど体調に不安がある場合、または、動物に咬まれたり、蚊に刺されたなど健康上心配なことがありましたら、お気軽に検疫官までご相談ください。
- 感染症には、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が数日から1週間以上と長いものもあり、帰国後しばらくしてから具合が悪くなることがあります。その際は、早急に医療機関を受診し、渡航先、滞在期間、現地での飲食状況、渡航先での職歴や活動内容、動物との接触の有無、ワクチン接種歴などについて必ず伝えてください。
- その他不安な点は、最寄りの保健所にお問い合わせください。(県南健康福祉センター:0285-22-0302)
注意すべき感染症
1.黄熱
発生地域
サハラ砂漠以南のアフリカ、中南米地域
感染経路
ウイルスを保有する蚊に吸血された際に感染する。
主な症状
3日~6日の潜伏期ののち、主として発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、背部痛、悪心・嘔吐などの症状が出現する。黄熱患者の一部は重症化して、ショックや多臓器不全に至る場合がある。
感染予防
長袖、長ズボンを着用し、素足でのサンダル履き等は避ける。媒介蚊は日中、都市部の建物内外に生息しているので、屋外だけではなく屋内でも虫除け剤の使用等によって蚊に刺されないように注意する。室内の蚊の駆除を心がける。
予防接種について
世界保健機関(WHO)により、ブラジルは黄熱に感染する危険のある国とされており、大西洋沿岸の一部地域を除く地域(内陸部全域)が黄熱ワクチン接種推奨地域に指定されています。また、黄熱の予防接種証明書(イエローカード)を携帯していないと入国できない国や、複数の国を渡航する場合に予防接種証明書の提示を求める国がありますので、渡航先の在外公館から最新の情報を確認してください。(詳細は検疫所HPへ<外部リンク>)
2.狂犬病
発生地域
世界のほとんどの地域。特にアジア、アフリカ
感染原因
動物(アジアでは特に犬)に咬まれること。アメリカ大陸ではコウモリに咬まれて狂犬病ウイルスに感染し、狂犬病を発症して死亡する事例が報告されている。なお、北米ではアライグマ、スカンク、キツネ等、東ヨーロッパでは、キツネ、タヌキ等、アフリカではジャッカル、マングース等、韓国ではタヌキ、中国と台湾ではイタチアナグマの野生動物で狂犬病が流行しており、注意が必要である。
主な症状
通常、1~3か月の潜伏期間ののち、発熱、咬まれた場所の知覚異常が現れる。恐水、恐風症状などの特徴的な症状の他に、神経症状(不安発作、嚥下困難(飲食物が飲み込みにくくなる)、けいれん)が見られる。有効な治療方法はなく、ほぼ100%死に至る。
感染予防
犬等(猫、野生動物を含む。特に飼い主の分からない動物。)にむやみに近付かない(特に小さなお子さんを動物のそばで一人にさせない)。もし犬等に咬まれたり引っかかれたりした場合は、傷口を石けんと水でよく洗い、早めに医療機関を受診し、適切な処置を受けた上で、狂犬病ワクチンの接種について医師に相談する。狂犬病発生地域(アジア、アフリカ等)に渡航し、動物と頻繁に接触する場合や地方(農村部等)で野外活動を行う場合は、渡航前に狂犬病ワクチンの接種を受けておく。
3.エボラ出血熱
発生地域
アフリカ(中央部~西部)
感染経路
自然宿主はオオコウモリとされている。エボラ出血熱患者に接触して感染する場合が最も多い(院内感染など)。感染したサルなどの動物の血液、分泌物、排泄物、唾液などとの接触でも感染する可能性もある。また流行地域の洞窟に入ることは感染リスクの1つである。
主な症状
2日~21日の潜伏期ののち、発熱、頭痛、下痢、筋肉痛、吐血、下血など。インフルエンザ、チフス、赤痢等と似た症状を示す。
感染予防
流行している地域への旅行を控える。野生動物や患者に直接触れない。洞窟に入らない。
4.中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)
発生地域
中東のサウジアラビアを中心に、アラブ首長国連邦、ヨルダン、カタール、オマーン、クウェート等で発生が報告されている。また、中東以外の地域(フランス、ドイツ、イタリア、英国、オランダ、スペイン、オーストリア、チュニジア、マレーシア、米国、韓国、中国、タイ、フィリピン)でも中東に渡航して感染した人やその感染者に接触したことにより感染した人が報告されている。
感染経路
中東のヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを保有している。特に子どものヒトコブラクダは高濃度のウイルスを保有している。そのため、ラクダとの接触や未殺菌乳の喫食が感染リスクである。またヒトからヒトへの感染は医療機関や家族において、濃厚接触によって起こる。咳による飛沫により感染すると考えられる。
主な症状
発熱、咳などの急性呼吸器症状、下痢等の消化器症状。
感染予防
一般的な衛生対策を心がける。(手洗い等の実施。未殺菌の乳や生肉など加熱不十分な食品を避ける。咳やくしゃみなどの症状を示している人やヒトコブラクダなど、動物との接触をできる限り避ける。)特に糖尿病や心臓病等の慢性的な病気の患者や、高齢者は、中東で病院に行くことやラクダに乗ることをできる限り避けるべきである。
5.鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)
発生地域
H5N1は、東南アジアを中心に、アフリカの一部地域など。H7N9は、中国。
感染経路
感染した家きんやその臓器、体液、糞などとの濃厚な接触。
主な症状
1日~10日(多くは2日~5日)の潜伏期間ののち、発熱、呼吸器症状、下痢、多臓器不全など。
感染予防
家きんとの接触を避け、むやみに触らない。生きたニワトリやアヒルなどが売られている市場や養鶏場に近寄らない。手洗い等の実施(特に発生国では徹底する)。