市内でナラ枯れが発生しています
「ナラ枯れ」とは
ナラ枯れ(正式名称:ブナ科樹木萎凋(いちょう)病)は、ナラ類やシイ・カシ類等のブナ科樹木に体長4.5mm〜5mmの昆虫カシノナガキクイムシが穿入孔を開けて入り込み、ナラ菌を媒介することによって枯死させる樹木の伝染病です。
特にナラ類のミズナラ及びコナラの大径木に集団的な枯損が起きやすく、被害が大きくなる傾向にあります。それ以外のクヌギ等のナラ類やシイ・カシ類は、部分枯れに留まることが多く、枯死することは少ないです。栃木市においては、被害の95%がコナラで、5%がアカガシやシラカシ等のカシ類となっています。
木の中で越冬した幼虫が6月頃に羽化し、周辺のブナ科樹木に拡散するため、ナラ枯れの被害が急拡大することがあります。
ナラ枯れ被害により枯死した木は、落枝や倒木の危険性があり、人身被害や家屋の損壊、道路や電線等のインフラ設備への被害が他県では確認されています。
ナラ枯れ被害木の特徴
- 6月下旬ごろから9月にかけて急にしおれ、紅葉の時期でもないのに赤褐色や茶色に変色します(枯れます)。一部の枝だけが枯れる場合もあります。
- 12月以降になっても、枯れた葉が落葉しません。
- 幹にカシノナガキクイムシが穿入した直径1.3mm〜2mm位の孔がたくさんあいており、特に根本に多いです。
- 穿入孔からたくさんの粉末状のフラス(木くずと虫の排泄物が混じったもの)が出て、根本や樹皮に積もっています。
紅葉の時期でもないのに赤褐色に変色した様子
ナラ枯れによって枯死した様子
カシノナガキクイムシの穿入孔
冬になっても落葉しない様子
根本及び樹皮にフラスが積もっている様子
栃木市の状況及び対応について
栃木市は職員による巡回や一般の方の通報、県が実施する防災ヘリやドローンによる空中探査の情報をもとに現地調査を実施し、ナラ枯れ被害の発見に努めています。
令和2年10月に栃木市の南部でナラ枯れ被害が発見され、令和3年には南部及び西部に被害が拡大しました。令和2年(3本)及び3年(261本)に発見されたナラ枯れ被害木については、県のナラ枯れ被害緊急対策事業費補助金を活用して、薬剤によるくん蒸処理を行い徹底駆除しました。令和4年には栃木市北部を除いてナラ枯れ被害が拡大、令和5年は出流町と星野町を除いた栃木市のほぼ全域で被害が確認され、倒木による人身被害や家屋の損壊、道路や電線等のインフラ設備に被害を及ぼす危険性がある箇所を中心に、選択的防除(令和4年に441本、令和5年に244本)を実施しました。
栃木市はナラ枯れ被害木のある土地所有者が、自ら駆除を実施する場合に費用を補助するナラ枯れ被害緊急対策事業費補助金を整備しています。補助金は栃木市農林整備課林務係によるナラ枯れ被害の認定を受けた上で、事前申請が必要になります。ご利用を検討される方は農林整備課林務係にお問い合わせください。
伐倒した木にシート被せてくん蒸している様子
樹幹に穴をあけて薬剤を注入、くん蒸完了後の様子
令和6年度以降の栃木市の対応方針について
今後の栃木市のナラ枯れ被害の対応は、令和4年12月に改正された栃木県ナラ枯れ被害対策基本方針に基づき、ナラ枯れ被害が多い地域は自然終息するまで、人的被害やインフラ等への被害が心配される箇所への選択的防除を実施します。
ナラ枯れ被害木(疑い含む)を発見したら
ナラ枯れ被害によって枯死や枝などが部分枯れしている木を見つけましたら、落枝や倒れる危険性がありますので、近寄らないでください。
令和5年から、市内のナラ枯れ被害地で猛毒キノコ「カエンタケ」が確認されていますので、見つけても絶対に触らないでください。
倒木による人身被害や家屋の損壊、道路や電線等のインフラ設備に被害を及ぼす危険性がある被害木を発見しましたら、農林整備課林務係に情報提供をお願いします。
ナラ枯れ被害の詳細や一般的な対策について知りたい方は、下記を参照してください。
林野庁 ナラ枯れ被害<外部リンク>
日本森林技術協会 ナラ枯れ被害対策マニュアル<外部リンク>
栃木県 「ナラ枯れ」被害の情報提供にご協力ください<外部リンク>